宗教法人設立

宗教法人設立手続き

個人や団体が宗教活動を行うことや宗教団体を組織することは、憲法の規定により保証されていますが、宗教法人となるためには、一定の要件と手続きが必要です。

「宗教法人」になりうるのは、宗教法人法に規定する「宗教団体」に限られます。

「宗教法人」は、宗教法人法で定義する「宗教団体」が都道府県知事又は文部科学大臣の認証を経て、主たる事務所所在地において設立の登記をすることにより成立します。

宗教法人を設立しようとする場合、所定の事項を記載した規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受けなければならず、所轄庁への認証申請の少なくとも1か月前に、信者その他の利害関係人に対し、規則の案の要旨を示して宗教法人を設立しようとする旨を公告しなければなりません。

宗教団体とは

「宗教団体」とは、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、信者を教化育成することを主たる目的とする団体で、礼拝施設を備える神社、寺院、教会、修道院、その他これらに類する団体をいいます。

この宗教団体は、宗教法人法に規定する要件を形式的に具備するのみならず、現に団体としての実体を有し、社会通念上他の個人又は団体とは区別された独自の活動を行っている団体でなければなりません。

過去3年程度の宗教団体としての活動状況を確認されます。

宗教法人の所轄庁

宗教法人の所轄庁は、原則として当該法人の所在地の都道府県知事ですが、他の都道府県にも境内建物を備える宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教法人、又は他の都道府県にある宗教法人を包括する宗教法人の所轄庁は、文部科学大臣になります。

宗教法人の機関

責任役員制度
責任役員は宗教法人の管理運営機関の一つとして、宗教法人法上必ず置かなければならないものであり、法人の事務に関して審議をし、宗教法人としての意思決定を行う機関です。

宗教法人には、必ず3人以上の責任役員(うち1人は代表役員)を置き、規則に別段の定めがなければ、宗教法人の事務は責任役員の定数の過半数で決し、その議決権は、各々平等となっています。

代表役員
代表役員は「宗教法人を代表し、その事務を総理する」者をいい、宗教法人の執行機関として必ず置かなければならない機関の一つです。

代務者
代務者とは、法人の役員が何らかの事由で欠けたり、病気等で長期間職務を行うことができない場合に置かれる代行機関のことをいいます。
この代務者には、代表役員代務者と責任役員代務者とがあり、このうち代表役員代務者については、代表役員と同様に登記事項となっています。

仮代表役員・仮責任役員
代表役員と法人との利益が相反するような場合には、当該事項については、代表役員に代わって仮代表役員を選任しなければなりません。

また、責任役員は、その責任役員と特別の利害関係がある事項については、議決権を有しません。この場合において、規則に別段の定がなければ、議決権を有する責任役員の員数が責任役員の定数の過半数に満たないこととなったときは、その過半数に達するまでの員数以上の仮責任役員を選任しなければなりません。

宗教法人の公告制度

宗教法人が重要な行為(合併、解散、財産処分等)をしようとするときには、信者その他の利害関係人に公告することを義務づけています。

宗教法人への寄付の税制

通常、個人が宗教法人に対して土地や建物を寄付すると、その個人は寄付により所得がないにもかかわらず、時価で譲渡して所得があったものとみなされて所得税が課税されます。

しかし、宗教法人が次に掲げる要件等を満たした規則を備えるなど、租税特別措置法第40条の適用を受けることにより、寄付者個人に課税される所得税の非課税措置を受けることができるようになります。

責任役員の定数は6人以上とすること。
監事及び評議員会を設置すること。
責任役員、監事及び評議員のうちには、各役員について、その者及びその親族その他特殊な関係にある者の合計数が、いずれも3分の1以下であること。
これらは要件の一部であり、租税特別措置法第40条の適用を受けるためには他にも要件があります。

宗教法人の書類備付義務

宗教法人は、管理運営を行うに当たり、法人の状況を的確に把握するため、必要な書類、帳簿を常に備え付け、その保管には万全の注意を払う必要があります。

また、宗教法人法に定められた備付け書類等は、信者その他の利害関係人の閲覧請求権の対象になりますし、その一部の写しは毎年所轄庁に提出する必要があります。

宗教法人の事務所には、常に、次の書類、帳簿を備え付けておくことが義務づけられています。

(1)規則、認証書

宗教法人の運営は、常に規則の定めるところに従って行なわれなければなりませんので、所轄庁の認証を受けた「規則」とそれを証明する「認証書」を備え付けておき、規則による法人運営の適法性が常時確認できる状態にしておく必要があります。

(2)役員名簿

宗教法人の運営は、責任役員等の役員により行なわれるものです。常時、現在の役員が誰であるかを把握できるように「役員名簿」等を整備しておく必要があります。

(3)財産目録

(4)収支計算書

一定の条件を満たす場合には、当分の間、収支計算書を作成しないことができます。

(5)貸借対照表(作成している場合)

(6)境内建物(財産目録に記載されているものを除く。)に関する書類

(7)責任役員会等の議事録

宗教法人の意思は、責任役員会で決定されるので、後日の証拠資料として会議の経過と決定した事項を記録として残しておく必要があります。責任役員会以外の規則で定める機関(総代会など)の会議内容についても同様です。

(8)事務処理簿

宗教法人の管理運営に関する事務を処理した経過を簡潔に記録しておき、後日の参考とするため「事務処理簿」を備えておく必要があります。

(9)事業を行う場合には、その事業に関する書類

※ その他の書類、帳簿

以上のほか、宗教法人法上は義務づけられてはいませんが、「規則の施行細則」、「法人の登記事項証明書」、「信者名簿」等の書類、帳簿を備え付けておくことが望まれます。

規則変更の手続き

法人内部の規則変更手続をどのように定めるかは、各法人の自主性に委ねられており、それぞれの規則でその手続を定めることになっています。

規則の変更については、一般に、責任役員会の議決の外に総代会や信者総会等の議決を経ることとし、しかも、その議決は、通常の事務決定の過半数ではなく3分の2以上とするなど重くしている例が多く見受けられます。

宗教法人内部の規則変更の手続が完了したら、宗教法人は、所轄庁に対し認証のための申請手続をとらねばなりません。

宗教法人の登記に関する届出

宗教法人は、登記事項に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては2週間以内に、従たる事務所の所在地においては3週間以内に変更の登記をし、遅滞なく登記事項証明書を添えて届け出なければなりません。

また、礼拝の用に供する建物及びその敷地の登記を行った場合も、遅滞なく届け出なければなりません。

宗教法人の毎年の報告

宗教法人は、毎会計年度終了後4月以内に事務所備付け書類の一部の写しを所轄庁に提出しなければなりません。

写しを提出しなければならない書類は、

役員名簿
財産目録
収支計算書(作成義務を免除され、実際に作成していない場合を除く。)
貸借対照表(作成している場合に限る。)
境内建物(財産目録に記載されているものを除く。)に関する書類
事業に関する書類(宗教法人法第6条に規定する事業を行う場合に限る。)

報 酬 等 (基本報酬)

宗教法人設立代行1,000,000円
規則変更認証申請代行200,000円
事務所の移転200,000円
登記に関する届け出代行30,000円
登録免許税非課税申告150,000円
不動産取得税非課税申告150,000円
年度報告書作成30,000円
年間サポート契約50,000円/月